延命治療とは
2022.3.13 峯木
治る見込みのない患者への治療。一度延命治療を始めるとやめることは困難。
救急搬送された場合に1分1秒でも命を伸ばすための治療。仮に死期が近づいた高齢者の容態が変わって、救急車を呼んでしまうと、救急救命治療が始まってしまう。
病院側は救急車を呼ぶ=1分1秒でも延命したい、というシグナルとみなす。
終末期に近い患者のQOLを高めるための治療。日本でも最近やっと認知されるようになってきた。
例えば、胃瘻(比較的簡単で安全な治療法)を安易に選んで、そこから腹水穿刺、輸血、酸素吸入・・・と延命治療に向かうことがある。
胃瘻の場合、医師や介護施設から「最近食が細くなってきましたね。どうしましょうか。」で家族が動揺してしまい、延命治療への道が始まることがある。
「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると以下のような結果であった。
このようにほとんどの人が胃瘻を望まないのに、逆に胃瘻が進んでしまうのは日本人特有の事情がある。胃瘻をしないで見殺しにする、という誰かの声を聴いてしまうからである。(空気による支配、といってもよい)
日本では認知症患者へ安易に胃瘻を行っていた。欧米諸国では生命倫理の観点から進めてなく、胃瘻患者は激減している。日本でも認知症患者への胃瘻をためらう医師も多い(胃瘻を積極的に進めている医師も認知症患者への処置は、心の中ではためらいがある。)が、患者の家族からどうしても長生きさせたい、といわれると処置せざるを得ない。
1979年4歳の幼児に適応、その後は脳卒中などで麻痺した患者へ適応
1990年代から始まる、2012年26万例⇒2022年50万例と急増。胃瘻大国である。
1980年代から始まり急速に増加。問題があるため認知症患者への胃瘻は禁止、胃瘻患者の数は激減。
儒教思想が強く、子供よりむしろ親を大事にする文化があるため、高齢者の胃瘻患者は増えている。どんなことをしても親を助けたい、という思想上の観点から、今後日本を抜いて胃瘻大国になる可能性あり。
医療費削減のため在宅医療へ方針転換
最近は延命治療を行わず看取りの方向には進んでいる。ただし、加算を当てにしているだけの病院や介護施設もある。
高齢者への胃瘻の効果として、体重増加を挙げている医師がいる。しかし、これは、腹水増加(体全体がむくむ)、糖尿病発症(栄養過多)など様々な副作用があり、QOLが向上するとは限らない。
「どうしても親を助けたい。」美しいことではあるが、9060問題(8050問題ともいわれる)で子が無職、親は年金生活の場合、倫理上非常に問題になる場合もある。